MedQA_jp

Healthcare Provider’s Blog

アデノウイルス簡易検査陽性だけで咽頭結膜熱(プール熱)との診断は問題です

leave a comment »

「昨日、のどが少し痛かったので、病院にて受診したら、外来診察室ですぐにプール熱といわれました。検査の結果を見せてもらいましたが、赤い線が出ているので、プール熱は間違いないとのことでした。今日になっても、熱も出ないし、目もほとんど充血しないのに、主治医から咽頭結膜熱(プール熱)といわれたため、学校も休んでいるのですが、本当にプール熱でしょうか?」というご相談が増えています。

回答: 病院での簡易検査にて咽頭ぬぐい液などからアデノウイルス抗原が検出されたのでしょうが、プール熱を起こすウイルスタイプがどうか判定できない検査なので、その後に典型的な臨床症状を来たさなければ、プール熱でない可能性があります。しかし、アデノウイルス感染は明らかですので、最終診断や学校出席については、主治医に再度早急にご相談下さい。

以下は解説です
==
咽頭結膜熱(プール熱)流行性角結膜炎臨床症状による診断名です。
たとえば、咽頭結膜熱(pharyngoconjunctival fever, PCF)の主症状は、発熱、咽頭炎、眼症状です。本邦ではプール熱とも呼ばれます。
それぞれ、アデノウイルスの特定のタイプ(血清型、遺伝子型)が原因となります。
病院や医院にて、十数分以内にアデノウイルス抗原の迅速検査ができますが、簡易検査法では血清型まで確認できないため、検査陽性(アデノウイルス陽性)であっても「咽頭結膜熱」でないことがあります。今年(2004年)の流行に関して、臨床診断より簡易検査結果を優先した「過剰な感染症報告」が問題になりつつあります。

感染症法、学校保健法における取り扱いを下記ホームページから引用します
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k03/k03_14.html
【参考ページ複写:ここから・・・】
感染症法における取り扱い
 咽頭結膜熱は4類感染症定点把握疾患であり、全国約3,000カ所の小児科定点医療機関から毎週報告がなされている。報告の基準は以下の通りである。
○診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、以下の2 つの基準をすべてを満たすもの
 1. 発熱・咽頭発赤
 2. 結膜充血
○上記の基準は必ずしも満たさないが、診断した医師の判断により、症状や所見から当該疾患が疑われ、かつ、病原体診断や血清学的診断によって当該疾患と診断されたもの

学校保健法における取り扱い
 学校保健法では、第二種伝染病に位置づけられており、主要症状が消退した後2日を経過するまで出席停止とされている。ただし、病状により伝染の恐れがないと認められたときはこの限りではない。
【ここまで・・・参考ページ複写】

血清型、遺伝子型による流行の動向(最近の論文要約より)

■東京(Hashido M,他 1996年 文献1)
遺伝子型 Ad7hによる小児上気道感染症
血清型 Ad7の3株が分離された。遺伝子型は Argentine Ad7h株に類似し、ウイルスの毒力が強く、南アフリカでのみ多く発見された株である。HI法では、Ad3抗血清にも交叉反応がある。過去数十年、国内ではAd7の流行がなかったので、今後のアウトブレークが危惧される。

■横浜(Itoh N,他 1999年 文献2 )
日本では、1989-1991年、結膜炎患者から血清型 Ad3 が主に分離され、遺伝子型はAd3fであった。1992年から血清型 Ad4が優位になる。1992年、従来と異なる遺伝子型のAd3が分離されるようになった。

■横浜(Tanaka-Yokogui K,他 2001年 文献3 )
流行性角結膜炎の症例から、血清型 Ad19の12株が分離された(1992-1998)。1992-1993、世界的に発見されていたAd19変異株が検出され、1997-1998には新しい遺伝子型の株が検出された。

■札幌(Aoki K,他 2002年 文献4 )
アデノウイルス血清型 Ad8,Ad19,Ad37 ⇒ 重症結膜炎(全身症状なし)
アデノウイルス血清型 Ad3,Ad7,Ad11 ⇒ 軽度結膜炎(全身症状あり)
アデノウイルス血清型 Ad4 ⇒ 結膜炎症状、全身症状は様々である

主な遺伝子型 Ad4a, Ad8e, Ad19a, Ad19b, and Ad37p, a, and b.
他:Ad8,Ad19,Ad37に対する中和抗体は20%以下であり、翌年以降流行が起こるかもしれない。

■広島(Suzuki E,他 2004年 文献5)
血清型Ad8 (遺伝子型 Ad8I)による流行。遺伝子的には血清型Ad9の特徴を有する新しい株、流行性角結膜炎のアウトブレークとなった。

【参考文献】

1. Epidemiol Infect. 1999 Apr;122(2):281-6.
Molecular and serological characterization of adenovirus genome type 7h isolated in Japan.
Hashido M, Mukouyama A, Sakae K, Tsuzuki H, Yamashita T, Inada T, Inouye S.
Infectious Diseases Surveillance Center, National Institute of Infectious Diseases, Tokyo, Japan.

2. J Med Virol. 1999 Sep;59(1):73-7.
Four new genotypes of adenovirus type 3 isolated from patients with conjunctivitis in Japan.
Itoh N, Tanaka K, Aoki K, Hinokuma R, Nakagawa H, Takeuchi S, Uchio E, Shiao S, Ohno S.
Department of Ophthalmology, Yokohama City University School of Medicine, Yokohama, Japan.

3. J Med Virol. 2001 Nov;65(3):530-3.
New genome type of adenovirus serotype 19 causing nosocomial infections of epidemic keratoconjunctivitis in Japan.
Tanaka-Yokogui K, Itoh N, Usui N, Takeuchi S, Uchio E, Aoki K, Usui M, Ohno S.
Department of Ophthalmology, Yokohama City University School of Medicine, 3-9 Fukuura, Kanazawa-ku, Yokohama 236-0004, Japan.

4. Int Ophthalmol Clin. 2002 Winter;42(1):49-54.
A twenty-one year surveillance of adenoviral conjunctivitis in Sapporo, Japan.
Aoki K, Tagawa Y.
Aoki Ophthalmic Hospital, 4-3 Minami Hondouri, 5 Shiroishi-ku, Sapporo, Hokkaido, Japan 003 0026.

5. J Clin Pathol. 2004 Apr;57(4):411-6.
Serological and genetic characterisation of a unique strain of adenovirus involved in an outbreak of epidemic keratoconjunctivitis.
Adhikary AK, Inada T, Banik U, Mukouyama A, Ikeda Y, Noda M, Ogino T, Suzuki E, Kaburaki T, Numaga J, Okabe N.
Infectious Diseases Surveillance Centre, National Institute of Infectious Diseases, Tokyo 162-86, Japan.

広告

Written by medqa

2004/07/18 @ 11:25

カテゴリー: adenovirus

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中