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住民検診, Scheie分類 (S1, S2, S3, S4)

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Scheie 分類の精度、意義、必要性等が住民だけでなく、網膜所見を判定したドクターにも十分理解されていない事例が数件ありました。
一般的な住民検診において、「眼底判定委員会」まで開催して、眼底写真の Keith-Wagener 分類、特に Scheie 分類による判定の精度管理を高める必要はないと考えます。一方、循環器系疾患や代謝性疾患(糖尿病など)以外の病気 (たとえば、緑内障)の早期発見のために眼科検診を実施する場合は、専門委員会などを設置してデータの十分な評価とフィードバックが必要でしょう。
全身性高血圧 systemic arterial hypertension に伴う高血圧性網膜症の程度分類として、世界的に Keith-Wagener (K-W) 分類が知られていますが、正しくは、
  Dorland’s Illustrated Medical Dictionary
    http://www.mercksource.com/pp/us/cns/cns_home.jsp
Keith-Wagener-Barker 分類 [Norman Macdonnell Keith; Henry Patrick Wagener; N.W. Barker] です (4群に分かれます) 。

Keith-Wagener-Barker classification, a classification of hypertension and arteriolosclerosis based on retinal changes.
Group 1, essential benign hypertension indicated by moderate arteriolar attenuation.
Group 2, constant high blood pressure but no apparent effect on health, indicated by more definite arteriolar attenuation with localized constriction.
Group 3, hypertension with retinal, renal, cerebral, and other symptoms, indicated by marked attenuation of the arterioles, 綿花様白斑 cotton-wool exudates, and 出血斑 hemorrhages.
Group 4, severe hypertension with severe nervous system, visual, and other organ disturbances, indicated by ophthalmoscopic signs of Group 3, with 視神経乳頭浮腫 papilledema

また、日本では、網膜の 動脈硬化症 arteriolosclerosis と高血圧性変化の分類として、Scheie 分類が K-W 分類とともに、よく用いられます。Scheie 分類では、細動脈硬化症(S)、高血圧性変化(H)の程度は4段階で表示します (S1, S2, S3, S4; H1, H2, H3, H4)。ところが、学問的な背景、食習慣、文化、何が原因であるか不明ですが、欧米では Scheie 分類は全く利用されてないようです。
老人保健法に基づく基本健康診査、住民検診などでは、眼底検査所見を判断するドクターは Keith-Wagener (K-W) 分類 と Scheie 分類(地域によって、双方ともに変法を採用していることがあります) による評価を行うことが多くなります。ところが、高齢者では網膜血管に加齢性の変化が加わる、写真撮影困難なケースがある、他の網膜疾患等の合併のため判定困難なケースがある、その他、眼底写真撮影の条件やフイルムの画質、スクリーニングを行うドクターの経験年数など、いろいろな理由で常に精度のよい判定結果になるとは限らないのです。特に Scheie 分類による細動脈硬化症(S)の判定は、誤差が生じやすく問題があります。
米国では、「高血圧の予防, 発見, 診断, 治療に関する米国合同委員会の第7次報告 (JNC7)
  http://www.lifescience.jp/ebm/guide/jnc7/index.html
が最新のガイドラインです。患者評価の中に 標的臓器障害としての「網膜症  Retinopathy」 が含まれています。

高血圧と診断された患者の評価には,以下の3つの目的がある:(1)ライフスタイルを評価,および予後や治療計画に影響をおよぼす可能性がある他の心血管系リスク因子 Cardiovascular Risk Factors や合併症を確認すること,(2)高血圧の原因を見出すこと,および(3)標的臓器障害 Target-Organ Damage およびCVDの有無を評価すること,である。

原文では、JAMA — The Seventh Report of the Joint National Committee on Prevention, Detection, Evaluation, and Treatment of High Blood Pressure: The JNC 7 Report, May 14, 2003, Chobanian et al. 0 (2003): 289192560
  http://jama.ama-assn.org/cgi/content/full/289.19.2560v1

Patient Evaluation
Evaluation of patients with documented hypertension has 3 objectives: (1) to assess lifestyle and identify other cardiovascular risk factors or concomitant disorders that may affect prognosis and guide treatment; (2) to reveal identifiable causes of high BP; and (3) to assess the presence or absence of target-organ damage and CVD.

となります。心血管系リスク因子の1つである 網膜症 Retinopathy の有無を高血圧治療の目標に反映させるという十分検討された科学的なガイドラインと言えます
網膜症 (有) は Keith-Wagener-Barker 分類のGroup 3, 4 ないし Scheie 分類 H3, H4 のことです。網膜症 (無) は Keith-Wagener-Barker 分類のGroup 1, 2 ないし Scheie 分類 H1, H2 です。
Scheie 分類(S1, S2, S3, S4)は網膜症の程度分類ではないので、JNC7 ガイドラインでは、本来必要ない項目です。さて、日本では、これまで、Scheie S1, S2, S3, S4 が患者の評価や治療にどの程度関与したのでしょうか。過大・過小に判定・評価されたデータは、修正後フィードバックされたのでしょうか。住民検診の目的、目標、評価の中に、再検討すべき項目が他にも存在しないのでしょうか。

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Written by medqa

2005/07/24 @ 19:08

カテゴリー: ガイドライン

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