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日本におけるMMRワクチン接種中止の理由

MMRワクチン:乾燥弱毒生麻しん(M)おたふくかぜ(M)風しん(R)混合ワクチン

Pediatr Infect Dis J. 1991 Mar;10(3):209-13.
Aseptic meningitis as a complication of mumps vaccination.
Sugiura A, Yamada A.
Department of Measles Virus, National Institute of Health, Tokyo, Japan.
[要約の意訳]
MMR 3価(3種混合)ワクチンに含まれていた「おたふくかぜワクチン Urabe Am9株」が原因で、日本国内ではワクチン接種者 630,157人中、少なくとも 311人が本ワクチンに関連した髄膜炎を発症した。患者311人のうち96人の脳脊髄液からワクチン由来のおたふくかぜウイルスが検出された。
非常に高い頻度となったのは、調査中にこの問題に反対のマスコミに騒がれたことも一部あるかもしれない。
ワクチン導入後1年間の臨床像を解析したところ、MMRに関連した髄膜炎患者(165例)は単価おたふくかぜワクチン Urabe Am9株接種後の髄膜炎発症患者(27例)と同様の発生頻度であった。ワクチンに関連した髄膜炎は、一般的に軽症で後遺症は発生しなかった。合併症は女児より男児に多かった(1989年の全国調査結果. 国立感染症研究所発表)。

1989年から数年の間に、おたふくかぜワクチン Urabe Am9株が無菌性髄膜炎の原因であることは、数カ国の研究者らによるヌクレオチド(ジデオキシヌクレオチド) 配列解析などにより遺伝子学的に確認されました。しかし、その後日本は欧米とは異なる予防接種政策を決定します。
1993年、MMRワクチン接種中止
1994年、予防接種法一部改正。義務接種から努力義務接種、集団接種から個別接種。

一方、[麻疹・風疹混合ワクチン – Wikipediaより] 海外では105ヶ国でMMRワクチンの定期接種(2004年現在)が行われています。イギリスなどはMMRに含まれるワクチン株をUrabe Am9株からJeryl Lynn株に変更して接種を継続しています。
米国は1989年からMMRワクチン2回接種、豪州は1994年からbooster shotの方法で、麻疹については、ほとんど根絶しました。
フランスなどでは、おたふく風邪ワクチンとしてUrabe Am9株を継続使用しているようです。
 http://www.mhlw.go.jp/shingi/2005/03/txt/s0304-4.txt
「Jeryl Lynnというのが広く使われている株です。それは大体100万人に1人ぐらいしか髄膜炎を起こしません。ただ、Jeryl Lynnの場合は、抗体の陽転率が日本の株に比べて低いということは言われています。ですから、Jeryl Lynnをやる以上は少なくとも2回やらないと確実に流行のコントロールは難しいでしょう。
 そこで、抗体獲得率が低いということで、フランスのアベンティスはUrabe AM9を使っています。フランスのUrabe AM9のデータですと、大体6万分の1というのが髄膜炎の発症率です。ですから、Jeryl Lynnに比べて高いですけれども抗体陽転率がいいし、下 略」

MMRワクチン後の髄膜炎など詳しい被害状況は下記ページを参照して下さい。
MMRワクチン接種による被害発生の原因究明に関する質問主意書
 http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/a154190.htm
衆議院議員阿部知子君提出MMRワクチン接種による被害発生の原因究明に関する質問に対する答弁書
 http://www.shugiin.go.jp/itdb_shitsumon.nsf/html/shitsumon/b154190.htm
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Written by medqa

2008/08/13 @ 00:07

カテゴリー: EBM